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spacer マーベルデザインコンペティションポスター spacer
spacer 黒川雅之(建築家)川上元美(プロダクトデザイナー)内田 繁(インテリアデザイナー) spacer 査委員長
黒川雅之(建築家)
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審査委員
川上元美(プロダクトデザイナー)
内田 繁
(インテリアデザイナー)
石橋利彦
(建築家)
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  第2回 課題
〜快適な手洗い機能〜
 第2回C.H.C.マーベルデザインコンペティションは、課題「快適な手洗い機能」のもとに実施され、94年3月10日に締め切られた。今回の応募作品点数は90点を数えた。審査は、94年5月19日に、新建築社にて行われ金賞1点、銀賞2点、銅賞6点が決定した。表彰式は94年3月9日に東京・六本木の国際文化会館で行われ、式後のパーティーでは、入賞作品を囲んで審査員と入賞者の歓談に花が咲いた。入賞作品の展示会が94年6月10〜17日に日本建築学会展示ホールにて開催された。
 
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spacer 審査講評
金賞(賞金100万円)

大橋由三子
羽根田正憲

(フリー)

銀賞(賞金各30万円)

石原光一郎
(鹿島)


金山元太
(アートランド)

銅賞(賞金各10万円)

細田みぎわ
(細田みぎわアーキスタジオ)

村田豊
(戸田建設)

本うし`93
(丹羽建築設計事務所)
John M.Lennon
(建築第三舞台)

小平恵一
(小平恵一建築研究所)

Yann NUSSAUME
(京都大学工学部)
NOBUYOSHI SUTO
(京都大学工学部)

菊池 宏
(東京理科大学工学部)
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黒 川 雅 之(審査委員長)
 前回のコンペの漠然とした大きなテーマ(商業施設における洗面空間)から、「快適な手洗い機能」というわかりやすいテーマになったせいなのか、密度の高い作品が多数応募されたように思う。もちろん、切り口は様々で哲学的なものからすぐさま製品になりそうな器具の提案まで含まれていて「手洗い」なるものの意味の広さ、大きさをいまさらながら感じたりの審査であった。
 金賞受賞の大橋由美子+羽根田正憲案は、水の表現を水滴でとらえるという、もっとも水の水らしい瞬間を表現しており、色彩や形態も詩的で手洗いのもつ儀式性や水の神秘性もしのぶことのできる優れた提案で、審査員全員の評価が一致しての文句なしの金賞であった。
 銀賞になった2点のうちの1点金山元太案はそのまま商品化可能な折り畳み式洗面器で、使用時・非使用時それぞれに美しいシルエットをもつ提案であった。
 もう1点の石原光一案はその逆を指向しており、むしろ哲学的な意味を表現するものといえるものであった。排泄するときの浮遊する肉体の中の視覚や脳による思考の回路を、むしろテーマの対象として扱おうとする案で、モノとしての「手洗い機能」を描いている。
 そもそも「手洗い」とは、人の心に直結するもの、生理的な行為に関係しており、しかも流動的でやわらかな「水」が支配する空間、「洗礼」のように宗教に関係したり、清めは儀式にもつながるものだけに発想の切り口もさまざまにあって、多くの応募者のイマジネーションを刺激したのだと思う。楽しい審査であった。
 
内 田  繁(審 委 員)
 「手洗い」という行為の原点を思推深く掘り下げたもの、儀式性を押し出したもの、器具としての完結性を求めたもの、あるいは都市空間や公園における水回りのあり方をその環境から考察したものなど、今回の一見限定されたテーマに見えるところを応募者がそれぞれの視点から提案し、その広がりには目を見張るものがあり、またその内容や密度においても質の高いものが多かった。
 賞対象の審査の過程で意見がかわされたが、金賞の「a Drop」(大橋由美子+羽根田正憲案)は、第一段階E?のセレクトのときから私はインパクトを受けたもので、手を洗う行為そして媒体である水を天から降りる一滴にまで思いをめぐらし、象徴化した感性は、そのイメージや造作性においても、また限られた手法でのプレゼンテーションにおいても秀逸な作品であると思う。
 銀賞の「SWITCH」(金山元太案)は、器具類の応募が多い中、コンパクトにまとめられたシャープで心地よいフォルムとうまく納まったメカニズムとをなし、具現性の高い器具があるが、ぜひ製作の検討をお願いしたい。
 もうひとつの銀賞石原光一郎案は、生理的行為の空間にイメージ情報を取り込むコンセプトを手慣れたイラストで表現したもので、その視点は魅力的である。
 
川 上 元 美(審 委 員)
 2回目を迎えたこのコンペは、「快適な手洗い機能」といった限定されたテーマが成功したと思える。よくコンペにありがちな抽象的なテーマから、より具体的にすることにより、目標が明快になったのだろう。実際、このコンペにふさわしいほどに、器具そのもののデザインに正面から立ち向かった姿勢に好感を持てた。
 特に金賞の大橋由美子+羽根田正憲案は、「手洗い」といった機能性が先行するものに対し、人と水の接触の仕方にある種の雄大なロマンティシズムを加えている。それは、より根元的な水の記憶を示しているのだろう。
 今日、ものの形態ほど不確かで危ういものはない。それは80年代末の差異化現象が形態のもつ真の強さを消し去ったことに起因している。
 だが、デザインにとって形態はきわめて重要である。それは、形態に導かれる以前の思考をふまえたうえでのことであるのだが、思考そのものを形態化することは思考以上の能力を必要とするのである。
 その点を考えると、今回のコンペは実に理想的であった。多くの作品が思考だけに留まるのではなく、それらに実際の形態を与えたからにほかならない。
 
石 橋 利 彦(審 委 員)
「手洗い」という行為のアプリオリな部分は、洗浄することによって得られる清潔感にあると思う。そこでこのコンペではそうした清潔感をどのようにとらえ、そして表現し得たかという点を問題とした。まず、清潔感の比喩的表現として水、流れ、ガラス等に展開を求めた案。次に、清潔感を生み出す手段としてテクノロジーに依拠することを表現とした案などが構成としては多かった。
 金賞の大橋由美子+羽根田正憲案は、水の流れを極限まで繊細に表現し、形態としても美しくまとまっている。
 銀賞の金山元太案は単体の表現が過剰になりすぎる傾向の中で、シンプルかつコンパクトに納めたデザインが評価された。また、和風をテーマにした案は今回も多く提案されたが、洗面を儀式でとらえた村田豊案が銅賞となった。
 同じく銅賞の細田みぎわ案は、曲面に女性的なやわらかさを感じさせる表現である。また、菊池宏案は、床と壁の要素を微妙にずらすことで洗面空間を表現していた。
 このコンペも2回目を迎え、日常では従空間的色彩が強い分野のアイデアコンペとしてのとまどいも消えてきた。そして「手洗い」という行為を主題に、既成概念にとらわれがちな事象をとらえ直す機会になってくれたのではないだろうか。
 
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